【 す ず め の 雛 】

 

  おはようございます。きのうは、母の日でしたね。いろいろな行事もあったようですが、母の日のことについては、また別の機会にお話しします。

今週は、「愛鳥週間」といって、鳥を大事にしましょう、鳥をかわいがりましょう、という週間です。どうして、そうなったかというと、5月のこの時期は、多くの鳥が巣を作って卵を産んで雛を育てる時期で、鳥にとっては子孫を増やしていく大事な季節だからです。

さて、それで今日は校長先生の弟(義理の)から聞いた話をします。弟の名前を仮にヒロシくんということにしましょう。ヒロシくんが小学生の頃、学校の帰り道で、すずめの雛が道ばたに落ちていて水たまりでぬれているのを見ました。その上、道路を舗装するときのコールタールのような茶色い油が羽に付いていて、痛々しい姿で鳴いていました。ヒロシくんは、とてもかわいそうに思って手のひらに乗せて大事に家に持ち帰り、お母さんにその雛を見せて、なんとか助けられないかと相談しました。お母さんは、ヒロシくんが自分で世話をするならば育ててもいいと言ってくれました。ヒロシくんは、お母さんに教えられたように、すずめの雛をぬるま湯に漬け、脱脂綿や柔らかい布でていねいに何度も洗い、雛の汚れをぬぐい取ってあげました。完全にはきれいになりませんでしたが、なんとか生き延びられそうな様子になりました。それから、お米を湯に浸して小さく擦りつぶして、それを割りばしに少しつけて、そって雛の口に近づけると、雛は懸命に食べました。

何日も、このようにしてエサをやり続けていくうちに、雛はすっかり元気になり、しっかり声も出るようになりました。天気のいい日は、雛の入った鳥かごをベランダに出して、外の空気にふれさせました。そうしたら、ある日、鳥かごの周りを飛び回るすずめが来るようになりました。ヒロシくんは、そのすずめが雛の親ではないかと思いました。なぜなら、そのすずめと雛は何やらチュンチュンと呼び交わしているようでしたし、親らしきすずめは、小さな虫などの生き餌をくちばしにくわえて運んでくるようになったからです。

何日か過ぎ、大きくなった雛を見て、ヒロシくんは鳥かごの扉を開き、いつでも雛が外に出られるようにしました。そうしたら、ある日、気がついたら雛はいなくなっていました。ちょっぴり寂しさを抱きながら、空を見上げたヒロシくん。元気でとんでいるかなあと思いました。

ところが、その翌朝、親子のすずめとおぼしき大小二羽のすずめがベランダに降りてきて、空になった鳥かごの上をチュンチュンと鳴きながら飛び回っていました。ヒロシくんには、それがすずめがあいさつに来てくれたように思えてなりませんでした。

小さな生き物でも、気持ちは通じ合うものですね。

愛鳥週間に寄せて、鳥のお話をしました。

お話終わります。