【 (アイ) (ピー) (エス) (さい) (ぼう) 】

平成2210, 4

 おはようございます。

 今日のお話はこれです。(『iPS(アイピーエス)細胞(さいぼう)』と書いた紙を(かか)げて見せる)

 iPS細胞(人工(じんこう)多能(たのう)性幹(せいかん)細胞(さいぼう))の話です。わたしたち人間やすべての生き物の体は、細胞という小さなつぶが集まっできています。人間の体は、約60兆個(ちょうこ)の細胞でできています。

iPS細胞とは、ヒトの()ふからとった細胞に4つの遺伝子(いでんし)(細胞の中にあって、体をつくる小さな設計図(せっけいず)のようなもの)を入れて成長(せいちょう)させ筋肉(きんにく)()(ちょう)など内臓(ないぞう)その()体のあらゆる部分につくっていくことのできる細胞のことで、万能(ばんのう)細胞(さいぼう)と言われています。

たとえば、病気(びょうき)内臓(ないぞう)(胃、腸、(はい)心臓(しんぞう)他なんでも)が悪い人がいたとすると、その人の皮ふから細胞を取り出して、iPS細胞にすれば、そのiPS細胞を内臓の細胞に成長(せいちょう)させることができるのです。悪くなった内臓の細胞を、iPS細胞でつくった内臓の細胞と手術(しゅじゅつ)で取りかえれば、病気が(なお)せるというわけです。

すごいことですね。(ゆめ)のような気がしませんか。しかし、これが、夢ではなく、動物(どうぶつ)実験(じっけん)ではすでに証明(しょうめい)されている(たし)かなことなのです。今はまだ、人間に使うことはできていませんが、いずれは人間にも使うことができるようになります。

このiPS細胞が(もっと)期待(きたい)されていることは、ガンや心臓の病気などを治すこと。それから現在(げんざい)医学(いがく)では(なお)せないという、とても(むずか)しい病気(難病(なんびょう))にかかっている人を(すく)うことにあります。たとえば、筋肉がどんどん(おとろ)えて、歩くことも手を動かすこともできなくなり、最後(さいご)()たきりになってしまうという病気、反対に筋肉がどんどん(ほね)に変わっていって体が動かなくなるという病気などの原因(げんいん)をつきとめ、治療(ちりょう)する方法(ほうほう)を見つけることにあります。

このiPS細胞をつくった人は、京都(きょうと)大学(だいがく)教授(きょうじゅ)山中(やまなか)伸弥(しんや)先生という(えら)いお医者(いしゃ)さんです。山中先生は、早くこのiPS細胞が、人間に使えるように今一生懸命(いっしょうけんめい)研究(けんきゅう)しているところです。日本中、いや世界中の難病にかかっている人々が、山中先生たち研究(けんきゅう)(はん)成功(せいこう)を待っています。研究の成功が(おく)れれば、命のなくなってしまう難病の人もいるからです。

この素晴(すば)らしいiPS細胞をつくった山中先生にノ−ベル(しょう)(おく)ってはどうかという話が起きています。ノーベル賞とは、世界の人のためになるような(すぐ)れた発見(はっけん)研究(けんきゅう)をした人または平和のために()くした人に(あた)えられる世界で最も権威(けんい)名誉(めいよ)のある賞のことです。

そのノーベル賞が、山中伸弥先生に贈られるという発表が、今日か明日あります。すばらしいことですね。受賞(じゅしょう)の知らせを、みんなで期待して待っていましょう。

そして、ガンや難病(なんびょう)で苦しむ人たちがiPS細胞によって早く救われることを、心から(ねが)っていましょう。

お話終わります。